VW不正問題による自動車産業への影響
記憶に新しいVWのソフト改ざんによる排ガス規制逃れ問題、三菱自動車の燃費不正問題。世界中で自動車産業に激震が走りました。
こういった問題には企業体質がどうこうといった問題があるのは間違いありませんが、我々が定年まで勤めるにあたって、ずっと一貫した企業体質を保てるかというと保証はありません。企業体質は自分たちで作り上げるといった気概が必要なのかもしれませんね。
これら問題によって、自動車メーカーは非常にナーバスになっており、法律を遵守する姿勢が一段と強くなりました。結果的に排気ガス制御用のセンサー用、浄化用触媒等への期待が高まり、日本の自動車部品メーカーはウハウハな状況になりそうなんですが、長期的に見るとそうでもなさそうな感じです。
パラダイムシフト加速による自動車産業の激変
上記の規制対応に対して、内燃機関による対応に限界を感じている自動車メーカーがちらほらと出てきているようです。「いっそのこと電気自動車にしてしまえば、こんな悩みから解消される!」と一足飛びに変革を推し進めようという考えが芽生え始めたのです。
ご存知のとおり電気自動車の課題はバッテリー起因による航続距離不足と充電等のインフラ整備不足です。日産なんかがリーフを頑張って売り込んでいますが、夏場エアコンを使用すると航続距離ががくんと下がり、使い物にならないなどという意見も耳にします。
しかし電気自動車によるゼロエミッションにパラダイムシフトが進むと、その事業に参画する企業や資金がうなぎのぼりに増加します。開発資金の回収も容易になりますので開発もどんどん進み、バッテリーの容量問題やコスト、インフラ整備などはポジティブサイクルにのって、あっという間に普及するでしょう。
今後も日本メーカーはリーディングカンパニーになりえるか?
新しい需要増加によって消費が進むという経済にとってはいいこと尽くめにも見えますが、ひとつ問題があります。自動車産業はもともと摺り合わせのものづくりの集大成といわれ、日本が最も得意とする産業です。
一方電気自動車は内燃機関自動車に比べて圧倒的に部品点数が少なく、比較的簡単に作ることができるといわれております。部品間の規格化が進めば、極端な話自作PCのごとく生産ができてしまうかもしれません。
内燃機関による熱対策や排気ガス制御等のノウハウは不要であることも加えて、参入障壁ががくんと下がりますので、結果的に新興国が台頭したり、自動車産業外からの異業種との競争に晒されることになりかねません。
かつては日本の花形産業であった電器機器も、デジタル化が進むことによる摺り合わせ技術不要の流れになかで、新興国の参入を許し、現在の状況に陥ってしまいました。
現時点でに日本の自動車産業は世界トップクラスであることが間違いありませんが、20年後はどうなるかわかりません。これから新卒で自動車メーカーに就職する方も定年まで安泰かどうかは分りませんので、アンテナを高くはり変化に対応できるようキャリアアップに努めましょう。
以上、最後までお読み頂きありがとうございました。